ぷらこあ

ゆるふわゲームクリエイター / イベントオーガナイザーを目指してます

プレゼンスの高め方

モバイルファクトリー Advent Calendar 2018 21日目の記事です。
本日はMF卒業生の @lycoris102 が担当します。

さてモバイルファクトリーでは比較的活発に社内勉強会が行われていました。

tech.mobilefactory.jp

また公式な文化ではありませんが 退職時にMFでの活動をふりかえるトーク を開催する人もいました。

そうした発表を行う先輩エンジニアに感銘を覚え、自分も (そこまで還元できることはなかったのですが) 自己整理も兼ねて退職時にプレゼンスに関する発表を行いました。その時の話を表に出していなかったので、今日はどういう話をしたかを整理しつつ記載しようと思います。あくまで個人的な意見となりますので、平にご容赦下さい。

誰?

青木とと@lycoris102 という名前で活動しています。

2012年にインターン入社 / 2013年に正社員として雇用していただいてから2018年1月までモバイルファクトリーで勤務していました。大学時代にC/Javaを少し触れたものの、ほぼ初心者の状態で入社し、MF入社後に初めてコンソールに触れました。前半はPerlによるバックエンド開発、中盤はUnity開発、後半はエンジニア兼プランナーとして活動を行いました。また社内の部活動制度を使いゲームジャム部という部活を立ち上げ、定期的に社内ゲームジャム や外部のハッカソンイベントへの参加を行ってきました。

MF卒業後は 株式会社キッズスター に所属し、社内ではUnityエンジニア/ファシリテーター、社外ではゲームクリエイター/イベントオーガナイザーとして活動しています。最近はイベントの主催や手伝いの活動を主に評価され、UTJ社からUnityアンバサダーに任命されました。

blogs.unity3d.com

ここでは、技術力にはあまり自信のない自分がMFでどういう風に生き抜いて、あるいは今後どういう風に生き抜いていきたいかを記載しようと思います。

プレゼンスについて

プレゼンス【presence】

存在。存在感。特に、軍隊・国家などがある地域へ駐留・進出して軍事的、経済的に影響力をもつ存在であること。

プレゼンスは 「存在感」 のことです。プレゼンスが高いということは「影響力を持つ」ということとなります。プレゼンスは自分が関わる各ステークホルダー毎に存在すると考え、ここでは一旦大きく「社内」「社外」と大きく二つに分類します。

🏢社内のプレゼンス

「社内」に関わるステークホルダーとして「チームメンバー」「チーム以外のメンバー」「経営陣」等が存在します。これらのステークホルダーに対してプレゼンスを高めると、どのような事が存在するでしょうか。

自分はやりたい仕事の機会を得る事が出来る

自分の興味を認知してもらう事で、興味に合致する仕事の機会を獲得できる可能性があります。以下は一例ですが、元々自分はサーバサイドのエンジニアでPerlを使ってバックエンドの実装を担当していました。一方2014年にUnityというゲームエンジンを認知し、その魅力にのめり込んでからは「いつかUnityで仕事をしたい」という欲求を抱えていました。自分はUnite等の各種勉強会のフィードバック / 社内ゲームジャム 部を設立してゲーム作成を行うという過程を経て自己のUnityに関するプレゼンスを社内で上げ、結果的に社内のUnityプロジェクトの立ち上げに関わる事が出来ました。

自分の意見を通しやすくする事が出来る

自分を認知してもらうことで「どういう背景/基準で意見を出しているのか」を相手自身に補完してもらうことが出来るようになり、要望や意見を通しやすくなる可能性があります。

🏝社外のプレゼンス

「社外」に関わるステークホルダーとしては「同業者」「(特定の技術の) コミュニティ」がいるでしょう。これらのステークホルダーに対してプレゼンスを高めると、どのような事が存在するでしょうか。

業界において生存していく手段の一つとして機能する

特定の技術グループの中でプレゼンスを発揮する事で、同様の興味を持つ仲間と密な情報交換を行う事が出来るようになります。また、次のキャリアを検討するでのヒント (それは直接的なコネクションであったりするかもしれないし、自分の欲求を満たせる他のコミュニティの情報かもしれない) を得られる可能性が出てきます。

🤝プレゼンス = 信頼を得ること

では、プレゼンスを得るためにはどういうことを心掛けていけば良いでしょうか。
大きな物事 (例えば技術コミュニティにおける登壇) を成し遂げることが出来れば理想的ですが、まずは身の回りの信頼を得るという点から見ていきます。

信頼の方程式

プロフェッショナル・アドバイザー によると「信頼の方程式」は以下によって成り立つそうです。

信頼 = (専門性 + 信頼性 + 親密さ) / 自己志向性

専門性: 知識/情報の信憑性

信頼性: 実績/頼りがい

親密さ: 感情

自己志向性: 自己中心的か

チームやコミュニティに入りたての頃はまだ「専門性/信頼性/親密さ」がそこまで大きくない状態にあります。これらは比較的投資した時間に比例して大きくなっていく要素です。この時、 自己にとってコントローラブルな要素は「自己志向性」になります。 ここで如何に他の人に対して影響を及ぼしていけるか、というのがポイントとなってきます。この「自己志向性」は専門性や親密さが高まった場合にでも影響するのも一つ気をつけなければいけない点となります。他者を攻撃するような言動や身勝手な行いで信頼を失うのは非常に勿体無い。

👬「信頼性」や「親密さ」を上げる

言動を見直す

礼儀を持って人に接すること、ネガティブな表現や感情は表に出さず、適切な手段/場面で放出すること。こういったことは基本的な部分ではありつつ 「(親密さが低い内は) 他者が指摘しにくい箇所」 (基本的に指摘するより距離を置く方が楽) なので自己で意識しないいけないことが多くなります。

自己開示する

ジョハリの窓 という概念があります。これは自分/他人も共通して知っている領域を広げる事で、対象人物とのコミュニケーションをスムーズに行うことが出来るようになるということらしいですが、純粋に共通の話題や認知が存在する事でコミュニケーションのきっかけにもなり、相手からの干渉障壁を下げる事ができると考えます。前職モバイルファクトリーではチームで ライフラインチャートを記載/共有した事がありますし、現職では以下のような Who am I シートを記載/共有するような取り組みを実施したり、キャリアキーノートを記載することで、自己開示をしていきました。

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ここで一点注意事項なのが「自己開示の温度差を無理に高い方に合わせようとしない」というものがあります。この自己開示、当然ながら苦手な人も存在します。開示情報の差が大きい場合は負担になり、逆に親密さを下げるケースもありえるので無理に聞き出そうとしないのがポイントとなります。

まず理解に徹し、そして理解される

7つの習慣 における ”第5の習慣” として存在しているこちらですが、相手がどの立場にいるのか、何を求めているのか、どういう理由でその発言をしているのか、というのを理解し 「相手の期待値を握る」 ことはとても大事です。ここにズレが生じると自分がどんなに尽くしても相手はそこに対するズレばかり気になってしまい、勿体無い結果となってしまいます。個人の経験としては、例えばブレストの場面において「どういう問題解決をするためのアイデアを出す必要があるのか」を正確に握らないと、採用されないことが多かった記憶がありますし、仕事においては正確さより速さ、質より量が求められていた、みたいなケースもありました。

🛠「専門性」を上げる

社内勉強会を開催する/トークする

社内で勉強会を開催する事で他の人の技術を吸収することが出来ます。また自分がトークを行うことで考えや知識の整理/補強を行うことが出来ます。 冒頭の ブログ記事 にて紹介されていますが、モバイルファクトリーは専門職勉強会という形で業務時間に勉強会が行われていたので非常にありがたかったです。

「仕組み化」して習慣化する

上記の社内勉強会ですが例えば、あらかじめ時間が決まっていなかったら「参加者の時間調整/場所の確保」等、開催に向けてのコストが高まってしまい、継続して行うことが難しくなって今います。定常的に続けていきたい場合、時間や場所、手段を予め決めて固定しておくとスムーズに行くことがあります。例えば Gotanda.unity の開催に関しては頻度2ヶ月に1度と決めることで「仕組み化」しています。

心理的安全性を高める環境づくり

心理的安全性 とは「自分の言動が他者に与える影響を強く意識することなく感じたままの想いを素直に伝えることのできる環境や雰囲気のこと」で、心理的安全性を阻害する要素として以下のようなものが存在します。

IGNORANT: 無知だと思われる不安

INCOMPETENT: 無能だと思われる不安

INTRUSIVE: 邪魔をしていると思われる不安

NEGATIVE: ネガティブだと思われる不安

これらの不安を払拭するために、活動に対して前提となるルールを設けておくのが良いと考えます。例えば「こんなこともう知ってるだろうなぁ」といった不安に対して「ターゲットが違えばそんなことないよ (例えば、来年の新卒)」「基本的なところは何度でも抑えたいよ」みたいな前提を認知できているとアウトプットの背中を押せるかもしれません。

スキルセットを「見える化」する

チームメンバーのスキルセットを「見える化」しておくことで、分からないことがあれば聞くことが出来る人が明確になったり、今後どの技術を取得していけば活躍できるかの道しるべになったり、自分と憧れのあの人の差が明確になったり様々な効能があると考えられます。

www.ryuzee.com

「ニッチな分野」で専門性の差別化を狙う

自分がUnityを選んだ理由の一つとして「当時のモバイルファクトリーにはUnityを触っている人がいなかったから」といったものがありました。GREEやモバゲーといったブラウザプラットフォームからネイティブアプリの移行期において、今この技術を注力しておけば、自分でもいつか会社に貢献できるかもしれない、という想いがありました。上のスキルセットの話の拡張として「今社内で使っているスキルセット」の他に「今世間で流行っているスキルセット」があると、今後の技術戦略としての狙い所/可能性が見えてくるかもしれません。

技術+αという選択肢を視野に入れる

プレゼンスを向上するという視点で見たときにプログラミング以外の要素が役に立つということは往々にあります。

英語/数学/デザイン/マネジメント/ディレクション/ファシリテーションスキル/イベント運用力/ゲーム知識 ...etc

自分を主張するための道具は必ずしも1つに限定する必要は全くない のです。現に自分を構成する要素として「エンジニアリング」よりも「デザイン」「ファシリテーションスキル」「イベント企画/運用力」の方がプレゼンスを発揮できている可能性があります。そしてこの +α を鍛えるためには、他の専門職の人に教えてもらうのが一番早いと考えています。他セクションのSlackチャンネルにジョインしたり、エンジニアリング以外の勉強会に参加したり、出来ることは多いです。

他の人に確認してもらう

上記の+αの話、および期待値を握り合うという話に関連して 1on1やランチの際に「自分ってどういう分野でプレゼンスを発揮できていると思う?」みたいなことを確認する機会を定期的に設けると自分が目指している方向性と他者の認識が合致しているかを知ることができます。

社外勉強会に参加/登壇する

www.songmu.jp

自分は社内では周りより早く成長しているつもりだったが、そんなのがお話にならないくらいにShibuya.pmの壇上にいる人達は遥かに高い場所にいて、はるかに速いスピードで成長している。

こちらの @songmu さんのブログ記事の一文からも分かるのですが、社外勉強会を経て得られるのは知識/知見であり、そしてある種の「危機感」や「成長意欲」です。Gotanda.unity も同じような体験を提供したい想いでやっているので、Unityを触っている都内近郊の人は是非一度遊びに来ていただけると嬉しいです。

📝まとめ

  • プレゼンスを高めると社内的にも社外的にも (基本的には) 良いことがある
  • プレゼンス = 最初の内は信頼の積み重ね
  • 信頼性/親密さを高めるために、相互の期待値を握り合う
  • 専門性を高めるために、個人で戦わずチームで戦う
  • 自分のプレゼンスを主張するための要素を1つに限定する必要はない

改めてまとめると「最近出来ないなー」みたいなこといっぱいあったことに気付けたので、書いてよかったMFアドカレ💨