UniteTokyo2018に参加してunityroomブースのお手伝いをしました
📝始めに
青木ととです。普段は 子ども向けのアプリを開発する会社 で働きながら Gotanda.unity みたいなコミュニティを運営していたり、個人ゲーム を開発していたりしています。この記事は UniteTokyo2018 に参加した記事なのですが、トークの内容などについては触れていません。完全に個人の感想になります。トークの内容について知りたい人は 資料が上がっているものもある ので、そちらを一緒に見ましょう!
🎞自分とUniteTokyo
自分はUniteTokyoは2014から参加しているのですが、少しずつ参加する立場や目的が遷移してきたように感じています。
Unite2014/2015Tokyo はUnityを始めたばかりで1人の初心者Unityユーザとして参加しました。ユニティちゃんの発表に盛り上がったり、けど難しい発表が多くて全然付いていけなかったり、驚きと歯痒さ、そして楽しさを感じるようなイベントでした。
Unite2016Tokyo は勇気を出して一歩踏み出してみたイベントでした。前日にあったトレーニングデイのTAの募集をしていたので、勇気を出して申し込んでみました。事前講習の(旧)dots.の雰囲気の良さ、当日聞かれたことを答えられなかった悔しさ、それでもいつもお世話になっているUnityに貢献出来たことの嬉しさを感じたのでした。
Unite2017Tokyo からは場所が日航ホテルから国際フォーラムに移動になりました。自分はボランティアスタッフとして参加し、確かIBMのブースでVRコンテンツのアテンドを担当していました。本来は2日間でシフトが組まれるのですが、2日目に息子が熱を出し、敢え無く欠席したことを覚えています。
🤔UniteTokyo2018はどうする?
📝いつかは何らかの形でUnite (ひいてはUnityのコミュニティ活動) に参加者以外の形で貢献したい
— 青木とと(ˊᗜˋ*) (@lycoris102) 2018年5月2日
これまでUniteに参加し、最前面で登壇される人の輝かしさも、それを支える人の輝かしさも知っていて、憧れを感じていました。TAやボランティアスタッフの参加も「あの一員になれたら....!!」という想いからで、今年は無理でも今後、何かしらの形で関わっていきたい!そんな旨のツイートをしました。*1
まさか、その半日以内に UTJの池和田さんからDMを頂きまして「unityroomのブースを出すのだけどアテンドお手伝いしてみませんか?」というお誘いを頂くなんて思ってもいませんでした (恐らく上のツイートとは関係無くタイミングが良かっただけなのですが、完全にビビりました) 二つ返事し、その後 unityroom の管理人である @naichi さんともご連絡を取り、自分の今年のUniteの参加の方向性が決まったのでした。
🎮自分とunityroomと1週間ゲームジャム
無料ゲーム投稿サイト unityroom - Unityのゲームをアップロードして公開しよう
unityroomはWebGLでビルドしたUnity製のゲームを投稿できるWebサービスです。unityroomは誰でも気軽にゲーム投稿出来ることをコンセプトにしており、ゲーム作りのきっかけづくりとして「Unity1週間ゲームジャム( #unity1week )」のようなイベントも定期的に開催しています。
さて 1年前の話になりますが、自分がunityroomを知るきっかけとなったのがまさに #unity1week だったのです。自分は長期的な開発を継続することが出来ない惰性な自分は、短いスパンで期間が決まっている方がアウトプットを出しやすい傾向にあります。なので #unity1week は自分にとってピッタリな企画でした。
#unity1week は様々な変化を自分にもたらしてくれました。Unityおよびゲーム開発者の知り合いが圧倒的に増えました。自分に自信を持つことが出来るようになりました。今の会社に就職出来たのも、きっと #unity1week の作品がポートフォリオとして機能したという側面もあってのことだと思います。今回のUniteでのお手伝いも unityroom および #unity1week があってのこと。何かしら恩返しできたらなぁ、という気持ちで臨もうと思っておりました。
😷胃腸炎になった
昨日39度あったけど、なんとか37度前半まで戻した
— 青木とと(ˊᗜˋ*) (@lycoris102) 2018年5月5日
GWは実家(新潟)に帰省しようと思っていたのですが、息子が胃腸炎になり、さらにそれが自分にも感染るという自体が発生しました...。熱が39度も出て吐き気と腹痛にうなされ「これ本当にUnite参加出来るのか...?」とまで思いましたが、何とかGW明けまで回復することができました。危なかったーーー! (しかし、去年子どもが体調を崩して保育園まで迎えに行った実績を解除しているのでまだまだ安心はできない状態)
🏢1年ぶりの国際フォーラム
1年ぶりの国際フォーラムダンジョン #unitetokyo2018 pic.twitter.com/wmyqN06rcI
— 青木とと(ˊᗜˋ*) (@lycoris102) 2018年5月7日
有楽町は家から京浜東北線で1本なのでめちゃくちゃアクセスが良い! でも複数の棟に分かれていて、上下に移動することが多いのでホテル日航ダンジョンより攻略難易度は高いと思っております!
🖥unityroomブースでのアテンド
#UniteTokyo2018 にてunityroomとProBuilderGameJamブースのお手伝いをさせていただくことになりましたー!是非遊びに来てください!😍 pic.twitter.com/q7cVO0buxt
— 青木とと(ˊᗜˋ*) (@lycoris102) 2018年5月7日
unityroom/ProBuilderGameJamのブースはこんな感じでした。グッズ販売/企業出展の前で行なっておりましたが、皆さんは気付きましたでしょうか。unityroomには現在 約1800個のゲーム がパブリッシュされています。全てのゲームの中から探してもらうのは大変、ということもあり、今回はUnityやゲーム開発に所縁のある凄いメンバーからオススメ作品を選出して頂き、UniteTokyo2018限定のインターフェースで公開しておりました。
(途中ブース展示や講演に参加させていただいていた関係もあり) 2日間を通じてどのくらいの人が訪れたのかは認識出来ていないのですが、それでも多くの人が足を止めてくれました。専門学校の先生から「授業で使える?」みたいな相談もあったり、普段からunityroomに投稿していらっしゃる方が訪れてオフ会のような雰囲気になったり ... 自分も色々な人とお話が出来てめちゃくちゃ楽しかったです。
unityroomのブースでめぐちゃんにオススメされてたw
— みなと/らびっとぱんち@めぐるーまー (@pcw_minato) 2018年5月8日
めっちゃ嬉しい#東雲めぐ#unitetokyo2018 pic.twitter.com/OQDAwUW4mB
個人的には東雲めぐちゃんのゲームを作った方が、東雲めぐちゃんにオススメされていることを知ってめちゃくちゃ喜んでいたのも印象的でした。
✨オススメ作品として選ばれた衝撃
(そういえばunityroomブースにて自作のゲームを4名の方にオススメしていただいておりまして、正直卒倒するくらい嬉しかったです……!! ありがとうございますー!) #unitetokyo2018 pic.twitter.com/ktYRNt25N1
— 青木とと(ˊᗜˋ*) (@lycoris102) 2018年5月9日
上記にも記載をしたのですが、今回はUnityやゲーム開発に所縁のあるメンバーからオススメ作品を選出して頂きました。今回なんと自分の作品を4名の方にレコメンドして頂きました!一條さんも、和尚さんも、kanさんも、にょりさんも ... 雲の上のまた上のような存在の方々なので、こういう風に言っていただけるのは本当に嬉しすぎました。ありがとうございました!
実際何名かの方に自分のゲームをプレイして頂きました。自分はゲームをプレイしていただくときには始めは何も説明せず、何をするのかを見るようにしています。なるべく操作が直感的で、ルールが分かりやすいものを目指してはいるのですが、やはり意図が伝わらない箇所が多く、自分個人としても非常に学びのある時間でした。
🏖今年も Unite を満喫する
アテンドのお手伝いをしながら、トークを聞きに行ったり、ブース展示を見に行ったり、パーティに参加したりしていました。
チョットデキマス #unitetokyo2018 pic.twitter.com/vvHAGvrUze
— 青木とと(ˊᗜˋ*) (@lycoris102) 2018年5月8日
せっかくなので美少女になっておきました #unitetokyo2018 pic.twitter.com/vSaX8I88py
— 青木とと(ˊᗜˋ*) (@lycoris102) 2018年5月8日
ココノヱさんのらくがき動物園も可愛い! #unitetokyo2018 pic.twitter.com/DrammyU3xo
— 青木とと(ˊᗜˋ*) (@lycoris102) 2018年5月8日
S席は啓治郎さんのShaderGraphと椿さんの2D機能周り、あとは非公開予定のサイゲの席を買って、後見たいのは動画でもOKスタイルです https://t.co/dxFr89OdGK pic.twitter.com/UvXYVzRr4K
— 青木とと(ˊᗜˋ*) (@lycoris102) 2018年5月8日
ないちさんに撮ってもらいました pic.twitter.com/s1GZozcWgb
— 青木とと(ˊᗜˋ*) (@lycoris102) 2018年5月9日
パーティわよ! #unitetokyo2018 pic.twitter.com/Zjurf6cVg9
— 青木とと(ˊᗜˋ*) (@lycoris102) 2018年5月8日
来てますよ! #wddc2018 #UniteTokyo2018 pic.twitter.com/0wzOQc2t9O
— 青木とと(ˊᗜˋ*) (@lycoris102) 2018年5月9日
naichi さんや むろほし さんに付いて行って質疑応答聞くのも楽しかった。 心残りとしては「ゲームの中の質感」を列の長さから諦めてしまったこと... 立ち見でも後から入って見ればよかった...
👥最後に
今年のUniteTokyoはこの1年自分に起きた変化を実感するイベントでした。 unityroomを運営する @naichi さん、一緒にブースでアテンドした @PafuOfDuck さん 、 @citron_114 さん、@ni26mu さん、@poi_parfait さん、@tooth68549582 さん、@mixsandwichdx さん、そして Uniteを毎年企画/運営するUTJの皆さん、イベントスタッフの皆さん、めちゃくちゃ楽しかったです。ありがとうございました!少しでもお力になれたのであれば、個人的にもとても嬉しく思います。
Unityエンジニアとしても、ゲーム開発者としても、コミュニティリーダーとしても来年までにたくさん成長して、また何らかの形でUniteに関われることを目指したいと思います。いっぱいやる気を貰ったので頑張るぞ!
*1:知り合いのツイート経由で VancouverにあるAmazon S3チームのDeveloperになります · As a Futurist... という記事を拝見したのですが、この中の「言い続ける」という項目に強く感銘を受けました、言い続けていきたい
*2:とはいえ、結構見た目が強い側面もあって、ゲームとしては圧倒的に面白いものがunityroomの中には数多く埋まっています。上述の通りゲーム数が圧倒的に多いので、面白いゲームを引っ張り上げてくるようなレビュアーのような存在が unityroom には必要だなぁ、と考えています。 naichi さんが「開発者だけじゃなくてゲームを遊んでる人にもいっぱい来て欲しい」という風におっしゃっていて、まさにその通りだなぁ、と
Unity/ゲーム制作のローカルコミュニティを集約するScrapboxを作成しました
⬇️作成したScrapboxはこちら
イメージ
📝Scrapboxとは?
ドキュメント管理ツールの1つです。
一度に多くの記事が閲覧できる一覧性と投稿までの敷居の低さが特徴です。
マンガでわかるScrapbox が非常に分かりやすくまとまっております。
🤔なんで作ったの? (コンセプト)
以下の3点が理由です
- (1) 新しくUnity/ゲーム制作を始めた人が仲間を探しやすくするため
- (2) 他のコミュニティの存在や活動内容を認識するため
- 活動内容や工夫などを自分のコミュニティに取り入れたい
- (3) 自身の運営するコミュニティのプレゼンスを上げるため
- 自分のコミュニティの知名度を上げ、発表者のプレゼンス向上に役立てたい
👥コミュニティ運営されている方へ
既にコミュニティが掲載されている場合
勝手に掲載し、申し訳ございません。
ご迷惑でしたら削除させていただきます。 @lycoris102 までご一報をお願い申し上げます。
もし上記の理由/コンセプトにご賛同いただけましたら、宜しければコミュニティページに対して活動内容や雰囲気の写真など補足事項をご自由に記載していただけますと嬉しく思います。
コミュニティを掲載したい場合
下記のリンクから今回制作したScrapboxの編集メンバーになることが出来ます。
ご自由にページを追加してただけますと幸いです。
(タグは特にルール付けしておりませんが、将来的に整理させていただく可能性がございます。あらかじめご了承ください)
https://scrapbox.io/projects/unity-japan-community/invitations/b13d6db865642ca37b6621af078caff2
また操作方法などが不明な場合 @lycoris102 までご連絡いただけましたら代わりに追加を行います。
💬その他/ご意見
このボードに対するご意見/ご要望は遠慮なく @lycoris102 までお願いいたします。
チームやプロダクトの "ふりかえり" (KPT)について意識していること
こんにちは、青木ととです。
最近、 所属している会社 でふりかえりにおけるファシリテーションをすることが多くなってきたので、ふりかえりについてのポエムを書こうと思います*1。 特定の書籍や文章から影響を受けている部分は多いですが、持論の箇所も多々あるので、何か違和感を感じたら遠慮なく石を投げてください。ぽいぽい。
"ふりかえり" について
🌲木こりのジレンマ
そもそも「ふりかえり」とはなんだ、という話をしなくてはいけません。ふりかえりは目標に達成する上で必要なプロセスの改善を行うきっかけを作る行為のこととも言えます。改善の重要性については「木こりのジレンマ」といった説話が有名です。
拝啓『変わらない開発現場』を嘆く皆様へ ~エンプラ系 SI 開発現場の「今」を変えていくために~ | de:code 2016 | Channel 9
上の「木こりのジレンマ」の話でいうと、そもそも刃が欠けているということに定期的に気付くようなきっかけが必要ですし、「木を切る」という目標から見ると、他にも「体調によって力が出ていないのではないか?」「他の道具を使った方がパフォーマンスが上がるのでは?」といった視点で問題提起(仮説)や解決策が上げることも出来ます。
ふりかえりを行うことは 「過去~現状を顧み、目標を達成するためにボトルネックになる事項に気付き、その改善策を検討するための機会」 となりえます。
🗯ふりかえりは愚痴大会ではない
この「ふりかえり」は「反省」という言葉に置き換えないことが多いです。反省でも問題ないのですが、反省は比較的ネガティブな表現として使われることが多いです (良くなかった点にスポットが当たりやすい) 。ふりかえりに関しては、良い取り組みにもスポットを当てることが推奨されています。特にチームや組織におけるふりかえりにおいて、以下のような恩恵を得られるためです。
また「ふりかえり」は「愚痴」という言葉に置き換えないことが多いです。愚痴大会ということで、発言の敷居は下がるという仮説を持つことは出来るのですが、以下の2点のデメリットがあるため、許容できません。
- 対人攻撃になりやすく、モチベーションが持続しにくい
- 問題を出すだけになり、問題の改善が検討されにくい
📆開催頻度は1~2週間に1度
ふりかえりの対象について、大きく二つに分けることができます。
前者に関してはイベント終了後に開催を行えば良いです (ただし、なるべく早めに!) 一方、後者に対しては既にアジャイル開発によりイテレーションが定まっている場合はイテレーションに対するレトロスペクティブの意味合いを込めてそのスパンで開催するのが良いと思いますが、そうでない場合には1週間~2週間に1度の開催をオススメします。
- 長期間の間が開いてしまうと直近のことが印象に残り、過去のことを忘れてしまう (親近効果) のを防ぐため
- ふりかえりにより発生した改善行動を実際に行い、検証するスパンを確保するため
1週間か2週間かについては、ふりかえりに慣れないうちは短いスパン (1週間) で多く時間を取り、慣れてきたら工数との兼ね合いでスパン (2週間) を広げることを視野に入れていいのではと考えます。
⚒ふりかえりの手段/フレームワーク
ふりかえりを実際に行うにあたり、何をどうしたらいいか不明な場合、既存のフレームワークに当てはめて実行し、先人の知恵に乗っかってみることをオススメします。今回紹介するフレームワークである「KPT」の他にも「YWT」といったものが存在します。
KPT
KPTとは
「KEEP」「PROBLEM」「TRY」の頭文字を取ってKPTです。 上記の3つの観点に基づき、意見/アイデアを出すフレームワークです。 以下に3つの観点では具体的にどんな事項に関する意見出しを行うのか、ということを記載します。
KEEP
「KEEP」には「継続」といった意味合いが込められています。あなたやチームメンバーにとって、試して良かった事柄や続けていきたい行動がここに個人/チームのナレッジとして蓄積されていくのが理想です。
KEEP ≠ GOOD
KEEPのアイデアを出す際に「GOOD」 (良かったこと / 一過性のKEEP) が出てくることがあります。もしくは「進捗報告会」のようなスタンスになってしまうことがあります。KPTでは「出た意見を尊重する」という点が大事になるので、それを拒むことは望ましくないですが、ファシリテーターの視点としては「なぜそれがGOODなのか」「その成果/進捗を出すためにどういう行動を行なったのか」を掘り下げ、 KEEP = 持続(模倣)可能なナレッジまで落とし込む癖を付ける のが継続した改善のために大事となります。
PROBLEM
「PROBLEM」は「問題点」に関する観点*です。目標に対して障害となっている事項や将来的に発生しそうなリスクに関してここで意見出しされます。
掘下タイム⏰
PROBLEMを掲げる際によく出る意見として「◯◯できなかった」というものがあります (それに対するTRYは「◯◯する」になりがちです)。何か要因があってできなかったはずのものを再度やると言っても実施されないことが多いです。 「なぜできなかったのか」という根本にある事項を明確にしていくこと が、PROBLEMの場において重要になっていきます。
なのでファシリテーターには「なぜ?」をチームに浸透させていく役割があります。一方で、この「なぜ?」という問い掛けが批判のように聞こえてしまう、責め立てられていると感じてしまう場合もあります (出来なかったことに対する追求となるため、叱られているように思ってしまう)。自分が現在進行しているKPTでは 「記述タイム」と「深堀タイム」という名称で時間を設ける ことで「なぜ?を聞くのは問題を深堀するためだよ」ということを示しています。
問題 🆚 私たち
最近はあまり聞かないですが、こういう「何が問題か」という話をするときに「誰が悪い」「どのチームが悪い」といった「個人攻撃」が出ることがあります。しかし、この「誰が悪い」という発言に対する解決策を生み出すのは難しいですし、チームが改善を目的として挑んでいるいるのに「人間関係の悪化」という逆の方向に進んでしまうのは適切ではないです。
もしそういう話題になりそうであったら、潜在的な問題の掘下に移行するという手段があります。「どういう環境がそうさせているのだろう」「自分たちがコントロール出来ることはなんだろう」「自分が同じ立場になったらどういう風に解決するだろう」という問いかけを介して、 チームや組織の問題 (自分ごと) に昇華し、問題解決出来る状態に整えること が大切になります。
(とはいえ、対人に対する感情を全て捨て去るのは不健康なので、当然どこか別の機会にガス抜きが必要になるとは思っています)
TRY
「TRY」は「試したいこと」に関する観点です。PROBLEMを解消するためのアイデア、チームがより良くなっていきそうなアイデアを記載していきます。ふりかえり/KPTは改善のためのフレームワークなので、改善するための行動 (= TRY) のアイデアは重要なポジションを占めています。このTRYで多く意見を出すための指針として 「質より量」「コントロールできることに注力する」 というものがあります。
質より量🗻
特にKPTを初めてやったばかりの組織では「有識者が既にこの問題について考えているはずだから自分が考えても解決策が出ないだろうなぁ」といったバイアスや「自分には関係ない問題だから」といった考え方から、TRYがそんなに出ないことがあります。しかし実際は どんな小さなアイデアや専門外の視点からの意見からブレイクスルー出来ちゃうということはある ので、初めは「質より量」を促すのが良さそうです。具体的には1つのPROBLEMに対して1つTRYを書いてみることを促したり、たくさんTRYを書いた人を賞賛する文化を作ったりしていく感じになると思います。
コントロール🎮できることに注力する
「コントロールできることに注力する」に関しては意見を出す敷居を下げる、視野を集中させるための指針です。 自分以外の存在、チーム外の存在など、"他"の存在をコントロールする (望んだ行動を取ってもらう) には自分たちが主体的に動くよりも何倍、何十倍も労力が掛かります。 そこを解決するためのアイデアを出すのは非常に敷居が高いので、「PROBLEMの中で自分たちが注力出来そうなものはなんですか」等という問い掛けにおいて、コントロールできることに注力させます (当然、重要な問題に対して、まだコントロールしやすそうな人に依頼するという解決手段が出るのは問題ありません)。
TODO/ACTION
「誰が」「いつ」やるのか
TODOやACTIONはKPTの派生フレームワークの「KPT2」「KPTA」に登場する観点です。TODOもACTIONも役割は同じで、どちらを文言として採択しても構わないです。その役割というのが「TRYを実際の行動に落とし込む」というものです。
「より具体的なビジョンが無い場合は実現されない」ということは遊ぶ約束などでも体験してきたことだと思います。「◯◯行きたい」「◯◯やりたい」だけでは中々実施されず「いつやりたい」「誰を誘っていきたい」「誰が幹事をやるか」みたいなところが定まって、ようやく実現する可能性が見えてきます。
TODO/ACTIONは出てきたTRYに関して「誰が」「いつまで」を決めるためのもの です。任意の締め切り、とりわけ「次回のふりかえり/KPT実施まで」に実際に行うものをTRYの領域からTODO/ACTIONの領域に移動させ、人をアサインしていきます。
TODO/ACTIONとして実施するとチームでコンセンサス(同意)が取られたものに関しては、忘れ去られないために、その場でスケジューラーやタスク管理ツール (issueやバックログ) に格納する習慣をつけると良いです。
KPTの進め方について
大まかな流れ
弊社で実施しているKPTでは現在以下のようなタイムスケジュールで実施しています。 90分はなかなか長いですが、2週間に1度という頻度の面で調整を行なっています。
- 10:00- テーマ/グラウンドルール確認
- 10:05- 前回のACTIONの進捗確認
- 10:20- 今回のKEEP記載タイム
- 10:25- 今回のKEEP深堀タイム
- 10:35- 今回のPROBLEM記載タイム
- 10:40- 今回のPROBLEM深堀タイム
- 10:50- 今回のTRY記載タイム
- 10:55- 今回のTRY深堀タイム
- 11:05- 今回のACTION
- 11:15- 表明じゃんけん
テーマを決める
KPTでどういう意見を出せばいいか分かりましたが「何に関するKEEPを出せばいいのか」ということを決めておくと、個人/チームが目指すべき方向に対してアイデアを出すことが出来ます。スケジュールやクオリティ等、相反するものに対して等は特に顕著で、どちらを優先すべきか決まっていないと、どのTRYをやるのか選択がしにくくなります。
そこで決めるのが「テーマ」です。チームや組織の場合、今設定している中期目標やそれを一段階ブレイクダウンした短期的な目標が設定されていることが望ましくなります。ファシリテーターはより「テーマ」に直結するような意見を出すことを促すことが望ましくあります。が、テーマがコントロールしにくいものである場合、出にくいケースも多々あります。その場合、テーマ自体をブレイクダウンしていったり、「楽しく開発する」といったざっくりとしたテーマに置き換えても問題ありません。 その目標に同意が取れることと意見が出ることが重要 です。
グラウンドルールを決める
会議やふりかえりのアンチパターンとして「声がでかい人の主張が勝つ」といったものがあります。またPROBLEMの項目で掲げた「問題vs私たち」に関してもそうです。これらのアンチパターンを踏まず、良いふりかえりをするための「ルール」を定め、はじめに共有し、見えるところに配置しておくことは円滑なふりかえりを行う上で一定程度の効果が見込めます。
- 問題 vs 私たち
- 芸人になる (オーバーリアクション)
- 人の発言を遮らない
- 1人で話しすぎない
出来事を思い出す
今週はどんな出来事がありましたか?
1週間~2週間に1度の開催とはいえ、週の頭にあったことはなかなか思い出せません。この文章を読んでいるあなたは3日前に食べたお夕飯🍛のことを覚えていますでしょうか?
親近効果 (評価や判断をする際に最近の情報に影響されること) を避けるために、出来事を思い出すような導入を確保するのも手段です。例えば、ふりかえりのはじめに「思い出しのために、今週あった出来事を1人1つ言っていってください」のような時間を設けます。そうして1人が出来事を話し、それを聞くことで関連した記憶を想起させることができます。
都度記録する
...とはいえ、そもそもその喋る出来事を覚えていないというのがあるので、やはり 何かを感じたらその時に記録を都度行うような癖を付ける のが一番です。ここが習慣化すれば、KPTの時間中に思い出しながら記載する時間も短縮することが出来るので、狙っていくことをオススメします。
コンセンサス/同意を取る
メンバーでふりかえり/KPTを実施する場合、決定事項に関して 参加者全員の同意 を取ることも必要なことです。なぜなら行動を実施するのは参加者自身であり、そこに納得感が無い限り、改善のための行動が実施されない、蔑ろにされやすくなってしまいます。
とはいえ「これで行きます、良いですか?」という問いかけをしたときに、チームがどれだけ自律的かに依存はしますが、なかなかレスポンスは返って来にくいです。集団の中で自分が先行して声を出すのに抵抗があるとか、何かしらの要因があるとは覆います。
よくある合意形成の取り方として「いいと思った人は拍手」という手段がありますが、これは「音」に注目が行きやすく、個々のリアクションには目が行きにくいです。また強い「同調」を促しやすいです (なんとなく釣られ拍手をしてしまう)。
ちょうどいい落とし所を探るのは難しいですが、最近は「手を頭の上に乗せる」「左手を右耳に当てる」など 視覚的にその人が合意しているのか、していないのか分かる手段 を試しています。が、あまり要求が複雑だと、そこへのチャレンジに焦点が当たって本来合意すべき内容を忘れてしまうので、注意が必要です...。
KPTのふりかえり
表明じゃんけん🖐
KPT自体のふりかえりを実施することは「KPT自体の改善」「ファシリテーターの成長」に繋がります。KPT自体を簡単に振り返るための手段として、前職では「表明じゃんけん」という手段が用いられていました。これは定期的に開催される会議などの改善にも有効な手段で、以下のようなことを実施します。
- 参加者全員がこのふりかえり自体の評価を「1~5」の5段階で決める
- 1は時間の無駄、もうやりたくない...
- 5は超サイコー!完璧な会だったね!今夜は宴!
- 脳内で評価が決まったら、手をグーにして決まったことを示す
- 全員がグーを突き出したら「じゃんけんぽん!」で指を「1~5」のを示す
その後、改善を行いたいので、一番評価が低かった人に「なぜその評価にしたのか」「あと1点上げるためには何をすべきか」といったことをヒアリングしていきます。また、一番高かった人に「なぜ良いと思ったのか」をヒアリングすることで新しく導入した工夫などの評価検証を行うことも可能です。
Trelloを使ったKPT
KPTは付箋に意見を記載し、ボードに貼り付ける手段がメジャーです。 一方で、現在弊社で実施しているKPTでは Trello を使用し、PC上で意見を集約しています
Trelloとはなにか
Trelloは付箋を貼ったり、剥がしたりするような感覚で使用できるタスク管理のためのツールです。この付箋はTrelloではカードと呼ばれており、カードに人をアサインしたりラベルを付けることができたり、カード自体をリストを用いて分類することができたりします。自分も個人的には予定管理 / タスク管理のために使用しています。
💻きっかけ: リモートワークの人も参加できるようにしたい
弊社は子ども向けのプロダクトを作っている関係で、パパママな社員が多く、家庭との関係でリモートワークに切り替えるということが柔軟にできるようになっています。そうすると物理的な付箋でのKPTの実施が難しくなります。オンライン上でもKPTに参加できるようにするための手段として、Trelloを採用しました。
🌈KPT + Trelloのメリット
コメントで背景を捕捉できる
コメントによる恩恵を大きく受けています。付箋には物理的なスペースの制約があるため「いつどこでそう思ったのか」「なぜそれが起こったのか」を十分に記載することが出来ず、将来的に閲覧した時に想起することが難しくなります。Trelloのコメントにその辺りの情報を記載することで、よりそのカードが示す内容を理解しやすくなります。
こんな感じで、それぞれが「こういう原因なんじゃないかなぁ」みたいのを仮説立てるような動きも出てきました。
他の人が書いたカードを閲覧できる
事前に他の人が書いたカードを見ることが出来るので 「事前に掘り下げが行える」「関連する事項を思い出せる」「周りの人が書いているのを見て、自分も書こうと思える (思い出せる)」 のような効果が発生します。
また Slack と連携してKPTのカード/コメントが追加された時に情報を流すチャンネルも有効に活用されています。
ラベルによって分類を行うことができる
Trelloでは作成したカードに対してラベルを付けることができます。ラベルを付けることで「期間」「セクション」といった分類をすることが可能です。弊社では現在「期間」でラベルを付けており、KPT本編を実施する際には現在の期間だけでフィルターで絞り込むことを行なっています。
アサインをすることで誰が実施するのか明確になる
Trelloでは作成したカードに対して人をアサインすることができます。これを行うことで「この問題を誰が問題だと思っているのか」「このTODO/ACTIONは誰がやるのか」というのを示しやすくなります。
(現在、弊社では同意を示すためにアサインするという方向を示しています。これにより今チームや組織がどの問題に対して危機感を抱いているかというのが分かりやすくなる一方、同意が少ない問題が蔑ろにされやすいという諸刃の剣ではあります)
⛅️KPT + Trelloのデメリット
他の人の話💬に集中しにくい
弊社では現在あまりその兆候は見られないですが、人数が大きくなってきたり、今何をすべき時間か曖昧になっていたりということが原因で手元で作業をしてしまうケースが発生しがちです。その結果、他の人が話している内容に注力しにくい状態になってしまいます。
もしこの兆候が出てきたら、ファシリテーターは「今何を話しているかを強調する (ホワイトボードに書く等)」「深堀タイムの時には手元のPCを閉じて、前のモニターにのみ注視する」といった手段を取ると良いと感じています。
👀見える化しにくい
付箋のホワイトボードを通路やMTGスペースに配置する場合、副次的に「見える化」の効果が期待でき、意識の片隅に置くことができます。一方、Trelloは能動的にアクセスしにいく必要があるため「見える化」を実現しにくいです。これに対しては「チームが所持するモニターに常に映しておく」「朝会で確認する」「Slackに発言を流す」などの対応が取れると思います。
使っていきたい Trello の Chrome拡張
こちらの記事にあるものは殆ど採用していますが、特に便利だと感じているのは以下です。
- Trello Birds-eye
- カードを縮小し、1画面に多くのカードを表示することが出来る
- Card Numbers for Trello
- カードに番号を振ることが出来る
- 「XX番に関して意見があるんだけど」みたいな言い方が出来て楽
- Card Colors for Trello
- カード全体に色を付けることが出来る
- CardCounter for Trello
- リストに所属するカード数を表示することが出来る
- フィルターと合わせて「今回XX個のKEEPが出て素晴らしかったですね!」みたいな言い方をする時に便利
ファシリテーターのすヽめ
ファシリテーターは何をする人なのか
会議における目的を達成するためには「意見を出す人」も必要ですが 「意見を整理する人」「意見を出すことを促す人」というのも大事になっていきます。 「意見を出す人」は当事者であるチームメンバーが該当しますが、それ以外の視点で目的達成のための進行を行う責務をファシリテーターが持ちます。
- 「まずはテーマを復習してみましょう」「これから10分間はKEEPに対する深堀タイムです」といった進行管理
- 「この問題について誰が詳しいですか」「詳しい◯◯さんはこの問題の原因をどう思っていますか?」といった発言の促し
- 「このアクションの一覧を実際に実行できると思う人は、手を上げてください」といった合意形成の促し
(進行管理に関して、タイムキーピングの責務はもしかしたらファシリテーターではなく他の人が行なった方がファシリテーションに集中できるかもしれないとは最近思っている)
ファシリテーターになろう!
他のチームのファシリテーターをやる!
上記の通り、ファシリテーターはそこそこ責務があり、人の話に集中していないといけない存在です。また円滑に議論を進めるために、なるべく中立的な立場である必要があります。そのことから考えると、チームメンバーが「意見を出す人」と「ファシリテーター」を兼ねるのはあまり健全ではないと考えます。なので ファシリテーターは他のチームの人にお願いする ことをオススメします。工数やスケジュールの関係で毎回は難しくても、全体の進行の流れや雰囲気を掴むために初回~3回目くらいまではお願いできると嬉しいと思います。
繰り返しやる!
ファシリテーションの技術は実際にやってみないと身に付かないことが多いです (自分もまだまだではありますが...) なので、繰り返し実施して経験値を積んでいくというのが重要になっていきます。上記の「他のチームのファシリテーターをやる」も関連しますが 「誰かこのふりかえりのファシリテーターやりたい人、やってみたい人」と募集していけるような環境作り が大切になっていくと思います。
見て盗む!
自分は前職の先輩にファシリテーションがすごい上手な方がいて、その人がどういう工夫をしているのかを見て学んだ結果、現状こんな感じの偉そうな文章を書くことが出来ています。もし周りに ファシリテーションが上手い人がいたら、その模倣から始める のが良さそうです。
最後に
技術 + α を鍛える💪
自分は普段エンジニアとしてUnityを使ってコンテンツ作りをしているのですが、ゲーム作りという視点でも技術という視点でも特に尖っているわけではなく凡庸な存在だと感じています。上にめちゃくちゃすごい人がいっぱいいるわけです。ですが、今後業界で生き残っていくためには、業界に対して何らかのプレゼンス (影響力) を主張していかなきゃいけないわけで、そのために自分は「技術 + αを鍛える」という意識を持つようにしています。。具体的には今回記載したような「ふりかえり (組織改善)」「ファシリテーション」であったり、「イベントの企画/運営」という部分を意識して力を入れています (もちろん、ゲーム作りはしていきたいので、そこを諦めるわけでは無いですが) ファシリテーションに限らず、些細な意識や知識から「+α」 (自分の武器) を生み出すことが出来ると思っているので、その入り口としてこの記事が役に立つと嬉しいなぁ。
参考文献
上記の文章は以下の文献の影響を受けています。
ふりかえりでファシリテーターをする人は一読しておくとそれだけで自信に繋がると思います。
- プロジェクトファシリテーション 実践編 ふりかえりガイド
- これだけ! KPT 【これだけ!シリーズ】 | 天野 勝 | ビジネス・経済 | Kindleストア | Amazon
- KPTのコツを掴め!! 公開用
- アジャイルレトロスペクティブズ 強いチームを育てる「ふりかえり ... - アマゾン
- 自律的に現場を改善できるチームをつくるための「ふりかえり」の進め方 〜 KPTと進め方のノウハウ | Social Change!
*1:書きましたよ! プロジェクトの KPT に関しては、その内、ととちゃんがブログ記事を書いてくれたらいいなぁ。(プレッシャー)